川合のこだわり経営実務
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◇ 役割分掌(職務分掌)制定が職務能力向上と業績向上につながる
<自社に合った役割分掌(職務分掌)をつくること>
役割分掌(職務分掌)というものは、自社の体制に見合ったものでなければ正常に機能しないので、なるべくみんなが理解しやすいものにする必要があります。自社の特徴をよく考えて、社長が守ろうとすること、それぞれ役職員のレベルで求められていること(会社が求めていること)を明確にすることが大切となります。
そして、その中でも人事労務で目指すべきもっとも大切なことは、従業員の「処遇」について「透明性」を高めることです。中小企業では会計がどんぶり勘定的であるとともに、人事(処遇)も漠然としてよくわからないケースが多々あります。しかし、評価の基準がわかり、処遇が理解できるようになるということは、従業員にとって直接生活にかかわることであるとともに、「仕事でなにを目標としなければならないのか」が、見えてくるということなので、明確にしておくことが大事なのです。
<従業員ひとりひとりのことをよく知らなければならない>
従業員の管理で社長が心掛けるべきことは、従業員のひとりひとりに関心を持つことです。実際、従業員の信望を集めている経営者たちは、従業員のことを実によく知っています。当人の行っている仕事の内容はもちろんのこと、長所や短所、さらには奥さんや子供、両親のことまで知っていて、「上のお子さん今度学校だね」「お父さんの具合どう」とか、声をかけています。すぐれた経営者の方々はみんな、従業員に対する目配り・心配りが徹底しています。自分に関心をもってもらえば、嫌なはずはありませんし、ましてや相手が社長なのであれば、どんなにか嬉しいことでしょう。
<コミュニケーションとは従業員を知ること>
社長が従業員に対し目配り・心配りするということは、浪花節的行動ではなく、正しい部下とのコミュニケーションの形なのです。管理というと、とかくチェックシステムのようなことを考えがちですが、中小企業でなによりも大切なのは部下に対する目配りです。何かあったらというより、何か感じたり、気になったりしたら話しかけることです。こうしたことが、退職を防いだり事故を防いだりします。
逆に売上や資金繰りに追われて、従業員への目配りがなされないと、しばしば不祥事が発生するのは経営者ならおそらく体験していることでしょう。忙しくて、そんなことまで覚えられないと言わずに、従業員のことをなるべくたくさん知ることです。
それが、役職員の能力(やる気・仕事への誇り)力向上と業績(売上・利益)向上につながる重要なことだと認識すれば、たいていのことは我慢できるのではないでしょうか。
【専門家紹介】
川合 雅之
事業再生士 、1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / (株)FPプロジェクトワン
株式会社FPプロジェクトワンは、昨今の総合的なコンサルティング(ワンストップサービス)ニーズの高まりに応えるため、平成19年1月主な業務として、新規創業・起業支援、事業再生・改善計画書の策定支援、資金繰り支援、相続・事業継承支援(M&A含む)などの“総合コンサル会社”として設立しました。