専門家コラム
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◇パートタイマーの働き方
平成30年4月1日からパートタイマーが無期雇用従業員に転換する制度がスタートします。
<無期転換ルールとは>
本制度は、平成25年4月1日に施行された改正労働契約法に基づき、パートタイマーなどの有期契約従業員が、同じ会社(事業所)で短期の雇用契約を繰り返し締結し、通算5年超となった場合に適用となります。制度の対象となる有期契約従業員は、通算5年を超える雇用契約の締結日以降、会社に対していつでも無期契約への転換を申請する権利を持つようになります。なお、企業はこの無期転換の申出を拒むことはできないとされています。このルールを通称「無期転換ルール」といいます。
<どのような人が対象に?>
無期転換ルールは、中小企業、小規模事業、個人事業などの企業規模や形態、業種を問わず、有期契約で従業員を雇用する全ての事業所に適用されます。一方、従業員については、アルバイト、パートタイマー、契約社員などの名称にかかわらず雇用期間の要件を満たせば対象者となります。主に、同一の事業所で長年勤めているベテランパートやアルバイト等が想定されています。
無期契約への転換は、自動的になされるわけではなく、対象者が無期転換権を行使しなければ成立しません。実務上は、無期転換申請書等の書面提出や、更新面談時の意思表示により行使の有無を確認します。
<どのような準備が必要か?>
対象者は、雇用されている間いつでも無期転換を申し出ることができますが、あえて無期転換しないという選択もできます。しかし、申出により不安定な状況が解消するわけですから、これからも長く働きたいと考える方にとってはメリットととらえ、制度の利用を積極的に考えるでしょう。多くのパート従業員を雇用している会社であれば、ある日突然、無期転換の申出が殺到するということも想定されます。制度導入に備え、無期転換従業員の役割や責任の範囲、勤務体系、処遇等、どのように対応していくかあらかじめ社内で十分に検討しておくことで、突発的に生じる混乱を避けることができます。
<制度導入を好機に>
無期転換制度は、しっかりと対応策を準備しなければトラブルの種となる可能性がある反面、人材確保という面から見ると、貴重な戦力である有能なパート従業員を長期にわたり重用できるチャンスととらえることもできます。
本制度を有効に活用するために、前述の対応とあわせて就業規則や雇用契約書を整備し、正社員や有期契約従業員との区別を明確化するとともに、対象者との事前面談を戦略的に行い、無期転換の意思確認や労働条件のすり合わせ等を行っておくことも重要となります。
上記対応にお困りの場合は、ぜひお気軽にご相談下さい。
【専門家紹介】
宮崎 好司
社会保険労務士 / 宮崎こうじ社会保険労務士事務所
社会保険労務士登録番号
第01150027号
[保有資格]
社会保険労務士、FP2級
[主な業務]
労務相談、就業規則、労働・社会保険各種手続代行、
労働基準監督署調査対応
中小企業主等・一人親方の労災保険特別加入手続き など
平成27年4月 個人事務所開業、一般社団法人ベクトルに合流
経営者と従業員が長く楽しく働ける会社づくりを支援します。