専門家コラム
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◇裁量労働制の問題について◇
最近,国会で議論となっている「裁量労働制」の問題について気づいたことを,法律家の観点から一言意見を述べたいと思います。
私たち法律家の間では,法律の制定・改正については,具体的な立法事実が必要であるというのが一般的な理解です。「立法事実」というのは,その法律の制定・改正を必要とする事情ということです。つまり法律を作ったり,改正したりする場合には,その必要性を吟味して行うべきであるということです。医療の世界で用いられる「エビデンス」と同義といっていいかもしれません。
以前は,そのような観点から,立法の必要性を吟味して法律の作成が行われてきましたが,平成に入ってからは「立法事実」を精査することなく,新たな法律を制定したり,既存の法律を改正したりすることが多くなってきたように思います。その結果,法律の制定・改正の失敗が増加し,法律の改正が頻繁に行われるようになります。 法律家にとっては,極めて迷惑な結果となってくるのです。
そのような視点で,今回の「裁量労働制」の問題をみますと,いい加減な資料と根拠に基づき法改正が行われ,数年でまた改正の憂き目をみることにならないかが心配になってくるのです。
【専門家紹介】
橘 功記
弁護士/たちばな法律事務所 代表(札幌弁護士会所属)
みなさん、こんにちは。たちばな法律事務所の橘です。
日常の些細なアクシデントなどは気がつくと大きなトラブルに発展することがよくあります。
ほうっておいて後悔をするより、まずはご相談してください。
法律のプロが親身になって対応させていただきますので、
宜しくお願い致します。